外科
当科の診療は、消化器外科(食道、胃、小腸、結腸、直腸、肝、胆、膵など)、血管外科(末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)、下肢静脈瘤、深部静脈血栓症、腹部大動脈瘤、リンパ浮腫など)、内分泌外科(主に甲状腺、副腎)、その他(そけいヘルニア、外傷など)に大別されます。鏡視下手術、血管内治療を積極的に導入し、低侵襲手術による術後早期離床、在院日数の短縮を治療方針の重点の1つとしております。
また全国に先駆けて血管検診システムを立ち上げ、血管疾患の早期発見、早期治療に大きな役割を果たしています。
担当医が術前検査や説明、手術、術後管理から退院後の外来フォローまで行いますが、チームとしてどの医師でも対応できるように情報共有し診療にあたっています。
診療内容
年間手術件数は約570件です。診療ガイドラインを遵守して治療法を提案し、手術治療が必要な場合は低侵襲性手術に心掛けています。そのうえで患者様のご希望を尊重し方針決定しています。
消化器外科
消化器悪性疾患に関しては、外科専門医及び消化器外科専門医、がん治療認定医が診療ガイドラインに沿った術式を選択して手術を行っています。対応可能な症例には腹腔鏡下手術を積極的に行っております。
がん化学療法
消化器悪性疾患に対する術前術後化学療法を外来を基本としておこなっています。入院が望ましい場合にも対応しています。
血管外科
末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)に対する保存的外来治療・入院治療、腹部大動脈瘤の外来フォロー、下肢静脈瘤に対する低侵襲・血管内治療、深部静脈血栓症の外来治療を積極的に行っています。
甲状腺
内科と連携し腫瘍性病変の細胞診検査や定期フォロー・治療にあたっています。
消化器外科
当科では侵襲の少ない腹腔鏡手術を積極的に行っております。
消化器疾患全般(胃などの上部消化管・大腸など下部消化管・肝臓・胆道・膵臓など)に対し幅広く外科手術を行っています。
それぞれの診断治療ガイドラインを参考に治療方針を決定しています。悪性腫瘍の場合は診療ガイドラインに準じて、術前・術後化学療法を外来化学療法室や短期入院にて行っています。
緊急腹部手術(虫垂炎や腹膜炎など)も、できるだけ創の小さい腹腔鏡手術で行っております。鼠径ヘルニアの治療にも対しても、従来からのダイレクトクーゲル法・メッシュプラグ法のほか腹腔鏡手術を導入しており、短期滞在にて行っております。
在宅復帰のためのリハビリテーションが必要な場合には、包括ケア病棟を活用して十分なリハビリテーションを行ってから退院していただいております。
血管外科
当科は、血管外科の専門医療機関として、広く血管に関する疾患の診療を行っており、診断から治療、治療後の外来通院による経過観察まで一貫して行っております。
代表的な疾患は、動脈では、末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)、腹部大動脈瘤、静脈では、下肢静脈瘤、深部静脈血栓症が挙げられます。
末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)および腹部大動脈瘤は共に全身疾患であるため、病変部だけではなく、心、肺、肝、腎、脳など各臓器の機能評価が必要となります。
当科では、これらの機能評価を行い、その結果を踏まえ各症例に適切な治療法を選択しています。
末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)では、手術以外にも薬物治療や運動治療があり、下肢の虚血症状の改善維持に役立っています。
手術治療は、従来からの外科的血行再建術(バイパス術)だけではなく、体への負担が少ない血管内治療を取り入れておりますが、近年の急速なデバイスの進化や高度な専門性の進行のため、患者様にふさわしい治療の目的で仙台市内の高度医療機関にご紹介しての治療も提案しています。
腹部大動脈瘤の治療は人工血管を用いた血行再建術が基本となりますが、全身状態やご年齢からステントグラフトを用いた血管内治療が相応しいと判断される場合は、東北大学病院の血管外科をはじめとした高度医療機関での治療をご提案します。
深部静脈血栓症は、下肢の筋肉間を走行している深部静脈内に血栓ができる疾患でエコノミークラス症候群の名称で知られています。
抗凝固薬による薬物治療を行いますが、血流に乗って血栓が肺動脈に至る肺塞栓症が繰り返される場合などには、血管内治療による下大静脈瘤内フィルター留置も行う場合があります。
その他、四肢の急性動脈閉塞や内臓動脈瘤など、多種多様の血管疾患にも対応しておりますので、血管疾患が疑われた際には、ご相談頂ければ幸いです。
下肢静脈瘤に対する血管内治療
下肢静脈瘤とは、あし(脚)の皮下静脈が逆流することで主にすねの静脈が太く拡張して蛇行して浮き出ているものをいいます。
静脈瘤の症状には、足がむくむ、だるい、重苦しい、痛む、ほてる、かゆい、こむら返り、さらに血栓性静脈炎による発赤や腫脹、さらにうっ血がひどくなると色素沈着、皮膚硬化や潰瘍を形成するようになります。命にかかわる病気ではありませんがこのような症状は生活の質を下げるため、手術治療の適応となりえます。
下肢静脈瘤に対するレーザー治療が保険診療になり10年以上が経過しました。
レーザー・ラジオ波を用いた血管内治療は、体にやさしく、手術痕のない、優れたアイデアによる治療法です。日帰り手術が可能です。
原因の静脈(逆流している静脈)内にカテーテルを挿入して、レーザー・ラジオ波焼灼することで静脈壁は収縮・閉塞します。静脈瘤は膨らまなくなり、静脈瘤による症状が改善します。
2006年から2007年にかけて当院を含めた全国5医療施設で血管内レーザー治療の国内初の臨床治験が行われました。その結果2010年10月波長980nmELVeS®レーザー機器が薬事法承認され、2011年1月下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術が保険収載され、保険診療として施行されるようになりました。
また当院を含めた全国8施設で調査したレーザー機器の使用成績調査でレーザー治療の有効性と安全性が報告されました。2014年に術後の痛みと内出血の少ない波長1470nmの新しいレーザー機器、および高周波(ラジオ波)機器が薬事承認されました。
2015年には、さらにもう一つの波長1470nmレーザー機器が承認されました。
当科は、これまですべてのレーザー機器の臨床治験に参加して、学会にも積極的に発表して、国内の下肢静脈瘤治療をリードして来ました。
現在、日本では「下肢静脈瘤に対する血管内治療のガイドライン」に則って、年間3万人以上の患者様が治療を受けています(2021年NCD年次報告書より)。
また、近年では医療用接着剤(グルー)を用いた静脈瘤手術が2019年12月から保険適用となっていて、当院でも行っています(東北地方では最多の症例数を誇ります。血管診療センターのページをご参照ください)。
現在、2名の医師が、保険適応のある低侵襲なレーザー治療およびグルー治療による下肢静脈瘤手術をそれぞれ行っております。
深部静脈血栓症/肺塞栓症に対する外来治療
従来、深部静脈血栓症/肺塞栓症は入院が必須の疾患でした(現在でも呼吸困難や心不全合併、下肢浮腫が高度であり場合など、症状の程度によっては入院治療が必要もしくはお勧めすることがあります)。
2011年以降、新規の直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants : DOAC)が相次いで登場し、上記疾患に対する内服外来治療が行われるようになっています。
従来用いられてきたワーファリンと比べ効果発現が速やかであり、効果の個人差や食事の影響が少なく(納豆も食べられます)、安定した効果が期待できる薬剤です。
当科でも積極的にこの薬剤を用い患者様のQOLを保ちつつ治療を行っています。
リンパ浮腫を含む下肢浮腫性疾患に対する複合的治療
原発性および二次性(子宮がん、乳がん、前立腺がん等の術後)リンパ浮腫患者に対して、リンパ浮腫複合的理学治療(用手的リンパ誘導マッサージ、圧迫療法、圧迫下の運動療法、日常生活指導、スキンケア等)を、リンパ浮腫療法士(リンパ浮腫セラピスト)の指導の下外来及び入院で行っております。
下肢静脈瘤による慢性静脈不全、廃用性浮腫、血栓後遺症、血栓予防などに対しても圧迫療法を弾性ストッキング・コンダクターの指導により積極的に行っています。
2022年度診療実績(抜粋)
静脈・リンパ管疾患 | 下肢静脈瘤手術(血管内手術)等 | 446例 |
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鼠径ヘルニア(成人) | ヘルニア手術 鼠径ヘルニア | 24例 うち鏡視下手術 12例 |
胆嚢疾患(胆嚢結石など) | 胆嚢摘出術等 | 30例 うち鏡視下手術 28例 |
大腸の悪性腫瘍 | 結腸切除術・直腸切除術等 | 24例 うち鏡視下手術 18例 |
胃の悪性腫瘍 | 胃切除(幽門側・全摘) | 4例 うち鏡視下手術 1例 |
担当医表
外来受付時間
午前8:00〜11:30
午後完全予約
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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午前 | 担当医師新患 菊地再来 |
市来新患再来 赤田新患 |
阿部新患再来 洞口完全予約 |
赤田完全予約 菊地新患再来 |
市来新患再来 菊地新患 阿部完全予約 |
午後 | 菊地 二郎予約 | 検査・手術 | 完全予約 | 完全予約 | 検査・手術 |
赤田・洞口・阿部 | 赤田・洞口 |
- 事前予約がない方の診療は、予約診療後となりますので長時間の待ち時間が発生します。
- 予約なしの患者様は11:30までの受付となります。
- 午後は完全予約(事前予約患者様のみ)の診療とさせていただきます。
- 血管診療センター(火)(金)は動脈硬化疾患・静脈瘤・リンパ浮腫などの脈管専門外来です(予約優先となります。)※市来医師が担当しております。
医師紹介
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担当部長
阿部 立也あべ りゅうや
現在、外科診療における対象疾患・病態は多岐にわたっております。各疾患・病態に応じて、各専門分野との連携を行いながら適切な治療を実践していけるよう心掛けて参ります。
資格・認定等- 医学博士
- 日本外科学会専門医
- 日本DMAT隊員
- 臨床研修指導医講習会修了
- 緩和ケア研修会修了
- がんのリハビリテーション研修修了
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医長
菊地 二郎きくち じろう
患者様に納得いただける安心安全で有益な医療を提供できるよう他のスタッフと共に尽力致しますので宜しくお願い致します。
資格・認定等- 東北ブロック医師臨床研修指導医講習受講
- 緩和ケア研修会受講
- 医療メディエーション基礎編研修受講
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医長
洞口 正志づぐち まさし
これまで、胸腔鏡下食道切除を中心とした消化管手術と術前術後の補助化学療法から切除不能・再発消化器癌の化学療法を中心に従事してまいりました。癌治療は日進月歩で、個人で治療法を選択する事は難しくなってきております。癌治療に御不安な方には十分な説明により治療の選択肢を理解いただき、納得の上で医療を受けていただけるように心掛けてまいります。
資格・認定等- 医学博士
- 日本外科学会専門医・指導医(2021年1月1日~)
- 日本消化器外科学会専門医・指導医・消化器がん外科治療認定
- 日本消化器病学会専門医・指導医
- 日本消化管学会専門医
- 日本食道学会食道科認定医・選挙評議員
- がん治療認定医
- 日本医師会認定産業医