院長あいさつ

院長就任の挨拶

JR仙台病院

石岡 千加史

JR仙台病院 石岡千加史

 この度、 令和6年 (2024年) 4月1日付で、JR仙台病院の19代目の院長に就任いたしました。地域医療を担う保険医療機関の院長という重責に身の引き締まる想いです。就任にあたり、まずは一言ご挨拶申し上げます。

 当院は仙台駅至近の「地域社会に密着した医療貢献」を目指す病院です。その歴史は大正8年(1919年)仙台駅構内に開設された仙台鉄道診療所に遡り、その後、大正10年(1921年)に仙台鉄道病院として開設された仙台市内では東北大学病院に次ぐ歴史のある病院です。昭和63年(1980年)に現在の病院名に名称変更した東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の企業立病院ですが、宮城県内の医療機関と地域医療連携を通じて地域住民の種々の医療や健康ニーズに応えて参りました。現在、診療科数15(医師31)、医師以外の医療従事者(看護師、薬剤師、臨床検査技師ほか)207名、その他の社員を合わせて従業員260名、入院病床数164床(稼働病床123床)を有する総合病院です。平成8年(1996年)以降、院内専門施設として内視鏡センター、血管診療センター、化学療法室を順次開設、平成15年(2003年)には急性期病院を届け出て、それぞれの領域の専門的医療と急性期医療を提供しています。

 超高齢化社会の到来により、わが国の医療ニーズは年々変化しています。宮城県の高齢者人口調査結果(令和5年)によると、高齢化率(総人口に対する65歳以上の割合)は29.1%で前年と比較して0.3ポイント上昇し、総務省の人口推計によると20年後には40.0%を越えると予想されています。現在、当院が立地する仙台医療圏では高齢化率は25.8%と県内の他の2次医療圏別と比べると比較的低いですが、今後は急速に高齢化が進むと予想されます。このため、この地域では加齢に伴う種々の生活習慣病やがんの患者数が一層増加するとともに、これらの複数の疾患が併存する患者数が増加すると考えられます。平成27年(2015年)に地域包括ケア病棟(41床)を設置し、高齢化社会における医療ニーズにも応えています。最近では、新しい医療ニーズに応えるため、最近では、体外衝撃波疼痛治療装置(保険適用、整形外科)の導入、多血小板血漿を利用した再生医療(PRP療法、整形外科、再生医療等の安全性確保等に関する法律に基づく届出済)、前立腺レーザー治療(CVP手術、泌尿器科、保険適用)などの最新の医療技術を導入しました。今後は、院内の全ての診療科の連携を一層強化して種々の併存疾患を抱える患者さまの診療をより充実させたいと考えています。

 当院は、医療の質の向上、患者の満足度の向上、持続可能な経営の向上という意味で院是を「向上」としております。
また、「高度で良質な医療と心のこもった患者サービスで地域社会に貢献し、調和のとれた企業立病院をめざします。」を理念とし、以下の基本方針を掲げています。

  • 高度かつ良質な医療を提供し、地域医療機関との機能連携を強化して企業立病院として社会貢献します。
  • プライバシーの尊重と最善のアメニティに配慮し、安心と満足が得られる快適な療養環境を整備します。
  • 全スタッフ一丸となって心のこもった患者サービスを提供します。
  • 日々研鑽に努め、責任を持って仕事に携わる質の高い医療人を育成します。
  • 医療環境の変化に対応できる健全な医療経営に努めます。

この基本方針1~4を遵守し、基本方針5に記載のように年々変化する住民の医療ニーズに対応し、医療の質とサービスの向上を常に実現する持続可能な医療機関として改革を進めて参ります。そして何よりも地域の皆様から信頼される病院を目指して職員一同精進して参ります。

今後とも皆様のご指導とご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

令和6年4月1日



<プロフィール>

2024
4月からJR仙台病院院長に就任(東北大学名誉教授、東北大学病院学術研究員)

<主な経歴>

仙台市青葉区生まれ。1984年に東北大学医学部を卒業後、仙台厚生病院消化器科に勤務しながら同時に東北大学大学院医学研究科博士課程に進学し1988年に修了(医学博士)。その後、市中病院勤務を経て、1990年から東北大学抗酸菌病研究所臨床癌化学療法研究部門の助手として研究と診療に従事。1992年から1994年米国マサチューセッツ総合病院ならびにハーバード大学(研究員)。帰国後、東北大学加齢医学研究所癌化学療法研究分野の助手、講師、助教授に昇進し、2003年から同分野教授(2010年から臨床腫瘍学分野に名称変更、2020年から医学系研究科に分野移転)。同時に東北大学病院腫瘍内科・科長に着任。2004年から東北大学病院化学療法センター長、2011年から東北がんプロ統括コーディネーター、2011年から東北大学病院がんセンター長、2012年から東北大学大学院医学系研究科地域がん医療推進センター長、2015年から東北大学病院副病院長、2017年から東北大学病院個別化医療センター長をそれぞれ兼務後、20243月に東北大学を定年退職(東北大学名誉教授)。

<専門>

腫瘍内科学(抗がん剤によるがん治療)。現在、東北大学病院学術研究員として、新規抗がん薬の創薬、がんゲノム医療、がん治療のバイオマーカーの探索ならびに開発研究に取り組む。

<専門医>

がん薬物療法専門医、遺伝性腫瘍専門医、消化器内視鏡専門医

<主な所属学会>

日本医学会および日本医学会連合(利益相反管理委員会委員)、日本内科学会(功労会員、学術集会運営委員)、日本臨床腫瘍学会(名誉会員、元理事長、元会長)、日本癌学会(名誉会員、元理事)、、日本癌治療学会(代議員、元理事)、日本腫瘍循環器学会(監事、元理事)、日本がん分子標的治療学会(評議員、元理事、元会長)、日本遺伝性腫瘍学会(名誉会員、元会長)、米国ASCO元国際委員、欧州ESMO元国際委員ほか。

<国県の審議会委員歴>

厚生労働省関連委員:がん対策推進協議会、今後のがん研究のあり方に関する有識者会議、がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議、患者申出療養に係る検討委員会

宮城県関連委員:宮城県がん対策推進協議会(会長)、宮城県立病院機構評価委員会ほか

<その他の法人の役員歴>

公益財団法人:がん研究会(現理事)、がん集学的治療研究財団(現評議員)、宮城県医師会(元代議員)、中外創薬科学財団(現IAAOアドバイザリーボード)、ほか

その他:医薬品医療機器総合機構(現専門委員)、日本学術振興会・科学研究費委員会(元専門委員)、全国がんプロ協議会(元副会長)、腫瘍内科医会(運営委員、元代表)、NPO動法人東北臨床腫瘍研究会(現代表理事)、東北がんネットワーク(現会長)ほか

<趣味>

旅行、スポーツ(自転車)